大判例

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福岡高等裁判所 昭和60年(う)136号 判決

本件控訴事実の訴因は,要するに,被告人らが具体的積極的言動によって前記田中ら両名を脅迫したとしているのに対し,原判示事実は,帰するところ,被告人らが,右田中ら両名においてその場の雰囲気や被告人らの地位,性格,行動傾向に畏怖していることを認識しながら,金員を要求することによって暗に同人らを脅迫したとしているのであるから,原判決は,訴因と実質的に異なる態様の脅迫の事実を認定したものといわなければならない。

前記のとおり,訴因が被告人らの積極的言動を脅迫行為としている以上,勢い被告人ら側の防禦活動も被告人らに右訴因による脅迫行為がなかったとすることに注がれ,その限度にとどまることになるのも無理のないことであるから,原裁判所が,原判示の脅迫行為を認定するにあたっては,それに即した訴因変更手続を経たうえで,被告人ら側に対し,それに応じた防禦活動をする機会を与えておく必要があったものといわなければならない。従って,原裁判所が,被告人ら側に防禦の機会を十分与えるための訴因変更手続を経ることなく,訴因と異なる事実を認定したのは,その訴訟手続が法令に違反したものであり,その違反は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから,この点において,原判決は破棄を免れない。

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